大学に入り、メイクを覚えた。琉一とは近所にいたくせに高校時代は全然顔を合わせなかったものだから、大学で久方ぶりに顔を合わせた時の、琉一の見たこともないような驚きの表情が今でも忘れられない。
 
 ただ救われたのは、お前、そういうところ昔からあったもんなとすぐにあっけらかんとしてくれたことだ。
 
 その頃になると男性から告白されることが増え、同じ数だけお断りをした。昔から知っている人間以外、私が男だと気づく人間もいなくなった。
 
 でも――いくら見た目が女でも戸籍上は男のままだ。就職活動は本当に苦労した。