秘密を打ち明けられるような友達もおらず、中学年の間は自分の気持ちを押し殺し続けた。でも限界が来たのだろう。高校が琉一と別になったことで、たがが外れたこともあったと思う。
 
 校則があまりうるさくなかった学校ということもあって、私は髪の毛を伸ばし始めた。耳が隠れる程度に。次は肩に届くくらい。最終的には背中の真ん中まで伸ばし、結ってみたり巻いてみたり色々と試すようになった。制服は我慢したが、私服ではスカートも履くようになった。周囲に隠し切れるはずもなく、両親にはいち早く自分の性的志向を告白し、言葉を失わせた。
 
 自由を手に入れた代わりに失くしたものも大きかった。そう実感したのもこの時だ。