「また本田先輩、忘れていってしまったので」
「これを届けにわざわざ来てくれたわけじゃないでしょ?」
「もちろん違いますよ」

 私は真っ直ぐに真澄を見る。もう逃げられない。
 
「真澄さん――」

 初めて彼女の名前を呼ぶ。
 
「――あなたが好きです」