「それって琉一のこと言ってる?」

 真澄が手で口元を押さえてクスクスと笑う。
 
「あら、気づいちゃいました?」
「付き合いだけは長いからね」
「あの、ルーズなところ、近くにいて本当にイラつくんですよね」

 ドキュメントファイルのフォントの乱れを例に上げる。そればかりか人に見せるメモなのに、とてもじゃないが本人以外は解読できない悪筆ぶりを披露してくれる。普段はそこまで下手な字ではないのだ。何故、ここでそんな無駄な手抜きをするのか。