真澄まで数メートルの距離まで迫った頃、私に気づいた真澄と目が合った。お互い、アッと口が開いた。真澄としては思わぬ登場人物に。私は思いの外早く真澄に気づかれたことに。
 
「こんにちは」

 時間は十一時を回っている。おはようございますと迷った末、こちらを選択した。
 
「どうも」

 真澄がペコリと頭を下げる。
 
 真澄の目が私の足元に移った。視線の先には塗り立てのペディキュアとグラディエーターサンダル。
 
「寒そうね」

 秋も深まってきつつある。この時期に足先を見せたいだなんて、単なる痩せ我慢に過ぎない。