何日かは空振りに終わったものの、とうとうある日、公園のベンチに座る真澄を見かけることができた。白黒のボーダーのシャツにベージュのチノパン、黒色のスニーカーを履いていて、この時期にあった春らしい出で立ちに、ずっと眺めていたい衝動に駆られたものだ。
 
 その偶然に味をしめ、私はますます頻繁にその町に通うようになった。努力の甲斐があって、私は何度か彼女を目撃することができた。ある時はスーパーサカエヤで、またある時は駅の近くにある本屋で。出かけたのだろうか。駅の改札から出てくるのを見たこともあった。
 
 回数を重ねることで私はある法則を見出していた。真澄は外出する時、メタセコイヤのある公園に立ち寄る。少なくとも私が真澄を見かけた時は必ずそうしていた。