「口に合わなかった?」
「いえ……」

 値段が値段だけあってうまいかまずいかもよく分からない。
 
「お腹空いてなかった?」
「いえ……」

 いえしか出てこない。
 
「何かいつもの彩音ちゃんぽくないから」
「あんまりに高級なので……その、気楽に食べるというわけには……」

 突然、本田が大きく息を吐いた。