若い子の"きちゃいました。"にはどうしてここまでの破壊力があるのだろう。驚きと戸惑いの混じった琉一の顔がこの一言だけで喜びに支配されたのだから。
 
 女の子はそこまで一気に言葉にしてから私の方を向いた。
 
「あ、彼女さんですよね? すいません。いきなり声かけて邪魔してしまって」

 恐れおののく態度。でも私にはこれが演技だと分かってしまう。
 
「あ、もしかしてこのお弁当って彼女さんの手作りですか? あ、誤解しないでくださいね。昨日は本田先輩、お昼にバタバタしてて、お弁当が食べられない感じだったんですけど、お弁当がもったいないからって私にくれたんです」