本田の目が自分に向かないと分かれば、彼女は気持ちを改めるかもしれない。
 
 そう。彼女が本田に対して、あの目を向けていることが苦痛なのだ。毎朝、毎朝、毎朝、本田と彼女が会っていることを私は知っている。何故なら毎日のように彼女の姿見たさに始発に乗って、二人の電車に乗る駅まで出向いているのだから。
 
 彼女に嫌われる本田の姿を想像することで、少しだけ溜飲を下げることができた。
 
 それを機に彼女とお近づきになれたらいいな、なんて妄想に近い想像をしながら帰宅した。