「なので彩音ちゃんは今日の昼、このお弁当を食べてくれないか?」
「へ? 先輩のために作られた弁当ですよ。先輩が食べてください。ラーメン屋なんて仕事終わってから行けばいいんじゃないですか」
「売り切れ次第、閉店の店なんだ。人気店でね、僕の知る限り、夜まで営業してたことは一度もない。つまり、僕がその店でラーメンを食べるには、今日の昼しかないってことだよ。だから、ね? お願い」

 一瞬、戸惑った。私が食べて、万が一にでも彼女にその事実が伝わったら、嫌われてしまうに違いない。