首を傾げている私の目の前に、本田はいきなりピンクの袋を差し出してきた。
 
「これは?」
「真澄が作ってくれた弁当」
「自慢……ですか?」
「いや、そうじゃないよ、彩音ちゃん。僕はどうしても懇意にしているラーメン屋の周年祭に行かなければならないんだ」

 周年祭とはどこぞのラーメン屋の周年祭だとここでようやく分かる。