彼女の見目はまさに完璧だった。吸い込まれるような黒髪。癖一つなく耳が少し覗かせているのもいい。切れ長の目。鼻筋も遠っている。総じて美人。いや、美人以外の単語が浮かばない。背は高くスレンダー。余計のところが出たり入ったりしない姿がまた美しい。服のセンスも申し分ない。
 
 気に入らないところを上げるとしたら、彼女の本田に向ける眼差しに、熱を帯びていることと、私に向ける視線に何やら含みを感じることだ。
 
 本田は彼女のことを幼馴染だと私に紹介した。今も近所に住んでいて、彼女の職場がここの近くにあり、だからここまで一緒にやって来たのだと聞いてもいないのに理由まで添えてきた。