待ち合わせの時間に十分ほど遅れ、ごめんごめんと言葉だけ発し、全く悪びれた様子もないままに本田はやってきた。
 
 イラッとしないわけでもないが、もう慣れた。彼のルーズさは今に始まったことじゃない。
 
 時間だけでなく、本田は仕事全般に完成度が低い。書類一つとっても誤字脱字が多いし、文書の頭のインデントがしたあったりしてなかったりもする。サイズも違うこともちょいちょいあるが、酷いときにはフォント自体が違うという有様だ。これで斜体や太字が混ざるようになったら、問答無用でデータをひったくって訂正するに違いない。