それでも僕と真澄の幼馴染という関係は続いていた。
 
 近所故にちょくちょく連絡を取り合い、時には近くの公園なんかで会う。大した話はしない。おはよで始まり、お互いの近況を確かめ、時折僕に見せる憂う真澄の視線に敢えて気づかずにやり過ごす。そんな時、お互いの仕事のことを話したことがあり、僕はその時、真澄の職場の場所や就業時間を知った。いや、知ってしまった。
 
 そして僕は気づいた。真澄があの時間に駅にいるのは、どう逆算したって一時間は早く、真澄が必要以上に早起きしてわざわざ弁当をこしらえてくれていることに。