僕にできることは、ただひたすらに波風を立てず、可能な限り凪を保つことくらい。
 
 常々思うのだ。僕の意思はどこにあるにあるのだろうって。
 
 手にした弁当袋を持ち替える。たかだか一人分のお弁当が入っているだけなのに重い。多分、真澄の気持ちがこもっているから。
 
 真澄とは幼馴染だ。気づいた時には一緒にいた。小さい頃は両親よりも長く一緒の時間を過ごしていたと言っても過言ではない。かくれんぼしたり、かけっこしたり。そうそう羽目を外し過ぎて、一緒に近所のおばさんに叱られたこともあったっけ。