真澄に弁当を渡される度に実は困惑している。それでも朝早くに起きて、わざわざ弁当を作ってくれているかと思うと邪険には扱えない。じゃあせめて弁当袋を地味なものにしてくれと言えばいいものを、それもできないのは僕の心の弱さ故なんだろう。
 
 周囲は僕のことを心優しい人間だという。いつも心穏やかで、荒ぶった言葉を吐くこともなく、不用意に人を傷つけない。
 
 でも――違う。的外れだ。
 
 ただ思ったことを口にできないだけ。人を突っぱねることができないだけ。チキン、ヘタレ、臆病、意気地なし。