「いいよいいよ。いつでも教えてあげる」

 誰かのために作ったご飯で、美味しいと言ってもらえるのは、やはり幸せなことだ。
 
「やった」

 彩音のガッツポーズを見て、可愛いと思ってしまった。
 
「代わりにタンドリーチキンの作り方伝授します。作ったことあります?」
「タンドリーチキン? ないない。だって琉一、チキン苦手だし」
「料理の幅狭まってるじゃないですか? もっと色々とチャレンジしないと」
「そうだね」

 不意にできた若い"同士"は表情も仕草も多彩だ。そんな仕草を見て、私は帰ったら鏡の前でコソッと練習してみようかと考えていた。