ザー、ザザー。
聞こえてくるシャワーの音。
はぁー。
ホテルに男の人と2人なんて、いつぶりだろう。
この10年恋愛なんてしてこなかったから。
パタン。
浴室から出てきた大樹先生。
さすが、すっかり着替えが終わっている。
ん?
マジマジと見つめていた私に、「何?」と首をかしげる。
「いえ、何でも」
「そう。シャワーどうぞ」
「は、はい」
暖まった浴室のシャワーのお湯が気持ちいい。
いつもの慌ただしい朝と違い時間を気にすることなく、お湯がもったいないなんて考える必要もない。
贅沢にお湯をため、湯船にもつかった。
う、うぅーん。
手足を思いっきり伸ばして伸びをすると、昨日のお酒も消えていくような気がする。
のんびりお湯に浸かってから浴室を出ると、テーブルの上にコンビニの袋が置かれていた。
「適当に選んだから」
「はあ」
わざわざ買って来てくれたんだ。
「食べに行った方が良かった?」
立ったまま動かない私の顔をのぞき込む。
「いいえ、十分です」
おにぎりと、お味噌汁と、サンドイッチと・・・
とても食べきれない。
「お茶は入れればいいね?」
大樹先生が備え付けのポットでお湯を沸かし、茶器を用意している。
さすが、駅前に最近立ったばかりのおしゃれなホテル。
その辺のビジネスホテルとは違って、お茶も茶器もセンスがいい。
「昨日は本当にすみませんでした。飲み過ぎました」
「うん、かなり酔ってたね」
否定しない大樹先生。
恥ずかしくなった私は、下を向いた。
「ほら、何食べる?」
「私はあまり・・・」
正直、2日酔いで食欲がない。
「ダメだよ。今日も仕事なんだから、ちゃんと食べないと」
わかってはいるんですが・・・
困ったなあとテーブルの上を見回し、
あっ、そうだ。いいことを思いついた。
私は部屋の隅にあるキャビネットを開け、手頃なお椀を手にした。
これって何に使うものだろう?
抹茶碗?カフェオレボール?お椀?
んー、よくわからない。
でも、ちょうどいいから使わせてもらおう。
「これをもらいますね」
コンビニの梅おにぎりを手に取り、フイルムをはがして、3つに割ってお椀に投入。
付属ののりは細かくちぎって、急須で入れた日本茶を注ぐ。
パラパラとのりをかけると、途端にいい匂いがした。
「うわ、旨そう」
大樹先生が身を乗り出してきた。
「作りましょうか?」
「ありがとう」
昆布と鮭のおにぎりを手にしばらく迷った大樹先生は、鮭のおにぎりを選んだ。
「本当に旨いよ」
「そうですか。私は何もしていませんが」
「いやー、君って意外と家庭的なんだな」
コンビニおにぎりで作ったお茶漬けのどこが家庭的なのかわからない。
「悪口ですか?」
ククク。
おかしそうに笑ってる。
「杉本さんは本当に面白いね」
別に、面白がられようと思ってはいない。
むしろ一刻も早くここを逃出したい。
でもまあこんなことは2度とないわけだから、目の保養はしよう。
「食べたら行こうか?」
「ええ」
これ以上ゆっくりしていたら、遅刻してしまう。
部屋を出てフロントでチェックアウトをする大樹先生は、「払います」と言わせないオーラをかもし出していた。
生まれながらの御曹司。
本当に王子様なんだ。
聞こえてくるシャワーの音。
はぁー。
ホテルに男の人と2人なんて、いつぶりだろう。
この10年恋愛なんてしてこなかったから。
パタン。
浴室から出てきた大樹先生。
さすが、すっかり着替えが終わっている。
ん?
マジマジと見つめていた私に、「何?」と首をかしげる。
「いえ、何でも」
「そう。シャワーどうぞ」
「は、はい」
暖まった浴室のシャワーのお湯が気持ちいい。
いつもの慌ただしい朝と違い時間を気にすることなく、お湯がもったいないなんて考える必要もない。
贅沢にお湯をため、湯船にもつかった。
う、うぅーん。
手足を思いっきり伸ばして伸びをすると、昨日のお酒も消えていくような気がする。
のんびりお湯に浸かってから浴室を出ると、テーブルの上にコンビニの袋が置かれていた。
「適当に選んだから」
「はあ」
わざわざ買って来てくれたんだ。
「食べに行った方が良かった?」
立ったまま動かない私の顔をのぞき込む。
「いいえ、十分です」
おにぎりと、お味噌汁と、サンドイッチと・・・
とても食べきれない。
「お茶は入れればいいね?」
大樹先生が備え付けのポットでお湯を沸かし、茶器を用意している。
さすが、駅前に最近立ったばかりのおしゃれなホテル。
その辺のビジネスホテルとは違って、お茶も茶器もセンスがいい。
「昨日は本当にすみませんでした。飲み過ぎました」
「うん、かなり酔ってたね」
否定しない大樹先生。
恥ずかしくなった私は、下を向いた。
「ほら、何食べる?」
「私はあまり・・・」
正直、2日酔いで食欲がない。
「ダメだよ。今日も仕事なんだから、ちゃんと食べないと」
わかってはいるんですが・・・
困ったなあとテーブルの上を見回し、
あっ、そうだ。いいことを思いついた。
私は部屋の隅にあるキャビネットを開け、手頃なお椀を手にした。
これって何に使うものだろう?
抹茶碗?カフェオレボール?お椀?
んー、よくわからない。
でも、ちょうどいいから使わせてもらおう。
「これをもらいますね」
コンビニの梅おにぎりを手に取り、フイルムをはがして、3つに割ってお椀に投入。
付属ののりは細かくちぎって、急須で入れた日本茶を注ぐ。
パラパラとのりをかけると、途端にいい匂いがした。
「うわ、旨そう」
大樹先生が身を乗り出してきた。
「作りましょうか?」
「ありがとう」
昆布と鮭のおにぎりを手にしばらく迷った大樹先生は、鮭のおにぎりを選んだ。
「本当に旨いよ」
「そうですか。私は何もしていませんが」
「いやー、君って意外と家庭的なんだな」
コンビニおにぎりで作ったお茶漬けのどこが家庭的なのかわからない。
「悪口ですか?」
ククク。
おかしそうに笑ってる。
「杉本さんは本当に面白いね」
別に、面白がられようと思ってはいない。
むしろ一刻も早くここを逃出したい。
でもまあこんなことは2度とないわけだから、目の保養はしよう。
「食べたら行こうか?」
「ええ」
これ以上ゆっくりしていたら、遅刻してしまう。
部屋を出てフロントでチェックアウトをする大樹先生は、「払います」と言わせないオーラをかもし出していた。
生まれながらの御曹司。
本当に王子様なんだ。