本当にもう。
職場の人間の前でまで、ドクター面はやめて欲しい。
ただでさえこの前のことが気になっているのに。
ああ、今日が暇な日で良かった。
昨日から体調不良で寒気がするし、食べられないし、食べてないから余計にフラフラして。こんな日に大樹先生に絡まれて焦ったわ。
「あれ?多恵ちゃん彼氏できたの?」
「はい」
新人も先輩も楽しそうに休憩してる。
まあ、たまにはいいわよね。
こんな日だってないと。
「この前の人は?」
「もう、別れましたよ」
「えー、何で?かっこいいって言ってたじゃない」
「やっぱり同業者はダメです。色々見えてしまって」
「へー」
今日は随分盛り上がってる。
フー、私も近くの椅子に腰を下ろした。
良かった、やっと休める。
そういえば、結衣はちゃんと学校に行ったかな?
今朝はどうしても起きられなかったから、「ママ、自分で食べるからいいよ」って言ってくれて助かった。
いつの間にか大きくなったのよね。
ん?
視線を感じて顔を上げると、同僚達がコソコソと私の方を見ている。
何ですか?と見返すと、視線を外しみんな散って行く。
はあー又だわ。
本当に面倒くさいんだから。
「目が怖いぞ」
え?
大樹先生、いつの間に隣に来ていたんだろう。
「お前、鏡見たことある?」
「はあ?」
「体調が悪のに喧嘩売ってどうするんだよ」
「そんな」
つもりはないけれど。
愛想笑いをする気にならないだけ。
「はい」
差し出されたのは体温計。
え?
何で今?
「杉本さん、顔色悪いよ。熱を計ってきなさい」
少し声を大きくして、まるでみんなに聞かせるように言う大樹先生。
さっきはお前なんて言ってたくせに、今は説教口調。
ほら、みんなが見ちゃったじゃないですか。
「杉本さん、体調悪いの?」
師長が聞いてきた。
「いいえ」
「顔が赤いわよ」
「大丈夫です」
「じゃあ計ってきて」
しつこいぞ大樹先生。
「インフルだったら困るから、休憩室で計ってきてちょうだい」
はあ。
ここまで言われては逆らえるはずもなく、
「行ってきます」
体温計を受け取り休憩室へ向かった。
ったく、なんなのよ。
みんなして私の邪魔ばかり。
特に大樹先生。
何の恨みで、
「熱は計ったら確認するからな。隠したらもう一度、今度は俺が計ってやる」
休憩室の扉の向こうから、不機嫌そうな声が聞こえた。
「やめてください」
ピピピ。
38.2℃
マズイ・・・
「オイ、まだか?」
「・・・」
ガラッ。
開けられたドア。
奪われた体温計。
「お前はバカか、何で無理するんだよ」
「だって」
「言い訳するな。帰るぞ、送っていくから」
「いや、でも・・・」
まだ勤務時間のはずなのに。
「杉本さん、今日は早退しなさい。大樹先生、うちのスタッフに送らせますから」
いつの間にか来ていた師長が、大樹先生を止めてくれた。
「いえ、1人で帰れます」
「それじゃ納得しない人がいるみたいだから、今日は送らせてもらうわ」
呆れ顔の師長。
きっと何か誤解している。
はあぁー。もう。
結局勤務の途中で早退することになった私は、後輩看護師の車でアパートへ帰ることになった。
職場の人間の前でまで、ドクター面はやめて欲しい。
ただでさえこの前のことが気になっているのに。
ああ、今日が暇な日で良かった。
昨日から体調不良で寒気がするし、食べられないし、食べてないから余計にフラフラして。こんな日に大樹先生に絡まれて焦ったわ。
「あれ?多恵ちゃん彼氏できたの?」
「はい」
新人も先輩も楽しそうに休憩してる。
まあ、たまにはいいわよね。
こんな日だってないと。
「この前の人は?」
「もう、別れましたよ」
「えー、何で?かっこいいって言ってたじゃない」
「やっぱり同業者はダメです。色々見えてしまって」
「へー」
今日は随分盛り上がってる。
フー、私も近くの椅子に腰を下ろした。
良かった、やっと休める。
そういえば、結衣はちゃんと学校に行ったかな?
今朝はどうしても起きられなかったから、「ママ、自分で食べるからいいよ」って言ってくれて助かった。
いつの間にか大きくなったのよね。
ん?
視線を感じて顔を上げると、同僚達がコソコソと私の方を見ている。
何ですか?と見返すと、視線を外しみんな散って行く。
はあー又だわ。
本当に面倒くさいんだから。
「目が怖いぞ」
え?
大樹先生、いつの間に隣に来ていたんだろう。
「お前、鏡見たことある?」
「はあ?」
「体調が悪のに喧嘩売ってどうするんだよ」
「そんな」
つもりはないけれど。
愛想笑いをする気にならないだけ。
「はい」
差し出されたのは体温計。
え?
何で今?
「杉本さん、顔色悪いよ。熱を計ってきなさい」
少し声を大きくして、まるでみんなに聞かせるように言う大樹先生。
さっきはお前なんて言ってたくせに、今は説教口調。
ほら、みんなが見ちゃったじゃないですか。
「杉本さん、体調悪いの?」
師長が聞いてきた。
「いいえ」
「顔が赤いわよ」
「大丈夫です」
「じゃあ計ってきて」
しつこいぞ大樹先生。
「インフルだったら困るから、休憩室で計ってきてちょうだい」
はあ。
ここまで言われては逆らえるはずもなく、
「行ってきます」
体温計を受け取り休憩室へ向かった。
ったく、なんなのよ。
みんなして私の邪魔ばかり。
特に大樹先生。
何の恨みで、
「熱は計ったら確認するからな。隠したらもう一度、今度は俺が計ってやる」
休憩室の扉の向こうから、不機嫌そうな声が聞こえた。
「やめてください」
ピピピ。
38.2℃
マズイ・・・
「オイ、まだか?」
「・・・」
ガラッ。
開けられたドア。
奪われた体温計。
「お前はバカか、何で無理するんだよ」
「だって」
「言い訳するな。帰るぞ、送っていくから」
「いや、でも・・・」
まだ勤務時間のはずなのに。
「杉本さん、今日は早退しなさい。大樹先生、うちのスタッフに送らせますから」
いつの間にか来ていた師長が、大樹先生を止めてくれた。
「いえ、1人で帰れます」
「それじゃ納得しない人がいるみたいだから、今日は送らせてもらうわ」
呆れ顔の師長。
きっと何か誤解している。
はあぁー。もう。
結局勤務の途中で早退することになった私は、後輩看護師の車でアパートへ帰ることになった。