私が、シングルマザーになったのは千尋が5歳になったばかりだった。
夫の雅貴は、交通事故で帰らぬ人となってしまった。
「ねぇママ。パパは、どこ行っちゃったの?」
幼い千尋が聞く。
本当は、悲しかった。辛かった。
だってこんなにも早く別れる時が来るなんて思ってもみなかったから。
でも私は、1人の娘を守らなければいけないのだと決めた。
だから、千尋に向かって優しく微笑んだ。
「あのね。パパはお星様になったの。」
「お星様?」
「そう。でも、パパはいつもお空から見守っているから。」
そして私は、悲しみを隠すように千尋を抱きしめた。