あらすじ

 幼い頃から身近にあった近所の小さな神社には、樹齢100年は超えるご神木様があった。幼い頃祖母に連れてこられ、ご神木様にはいつも見守られていることを話し聞かされていた主人公の紗耶香。何かにつけ、ここへやってきてはご神木様に話しかけている。
 大学生になり、高校から付き合っていた彼に浮気をされ、泣きながらご神木様に愚痴っているところに突然人が現れる。同じ歳くらいの男性は、神木と名乗り癒されるような笑顔を向けてきた。同じ大学に通っている神木は、とても聞き上手で紗耶香の話をいつも根気よく聞いてくれる。初対面から失恋話を愚痴っても、嫌な顔1つしなかった。それ以来、神木とは毎日のようにこの神社で会い、他愛もない話をする。
 いつしか紗耶香は、失恋の痛みも癒え、神木に惹かれていく。しかし、神木の体調が思わしくない。から咳の続く神木。迫りくる日本直撃の大型台風。
 心の底では気づいていた。神木がご神木様だということを。それでも想いは止められない。
 しかし、別れの時がやってくる。樹齢100年を超えるご神木様は、体を病んでいた。そして、直撃となった台風に遭い、神木は紗耶香の前から姿を消してしまう。