「どうでしょうか……」
 不安な目を向ける私に、樹木医の先生が難しい表情をする。木の周りを見て回り、観察し、生きている音を確認するようにしている。
 再び不安な目をする私と視線が合うと、スッと息を吸った。
「わかりました。三上さん、何とかしましょう」
「え……。本当ですか?」
「はい。しばらく時間はかかりますが、ここまで生きてきた木です。この木の生命力に掛けたいと思います」
 樹木医の言葉にほっと胸をなでおろしたのは、ご神木様が助かるかもしれないという思いからだけではなかった。あの日、沢山の涙を流しながらご神木様のことを愛してくれた彼女のためにも、神主である私は全力でこの木を守りたい。
 ここを愛してくれる人たちのためにも。