姫は、小瓶を手に取り。
陽の光にあて、キラキラ、ギラギラさせている。

旅商人は言う。
「姫様。お石の中には、
 薬として用いる石もある、といいます。
 が、伝え聞いたところによると。雷をビカッと発する石や。
 毒を出す石も在るとか...」

姫は、ギョッとして。眼を見開き、瞳孔をヒン剥いた。
心も身体も、こっ、硬直。

ゆっくり、そっと、
そぉっと... 石を刺激しないよう、
音を立てないよう、
小瓶を、元の位置へ、戻す。

と、
すっかり忘れていたのか、急に慌てて。
懐から、翡翠色の巾着袋を取り出すと。

中に入っていた翡翠石で、必死に手を洗った。