次の日。
私は麻美を呼び止めて、昨日感じた違和感について、訊こうとずっと思っていた。
ほんの少し、不思議に思っただけ。べつに特別変なことじゃない。わかってしまえば、なんだそうだったのって、笑ってしまえるくらいの、些細なこと。
この時まで私は、そう信じていた。

会計の時、私は念のため、帳簿を調べてみた。
私は目を見開いた。
ページをめくる度、嫌な予感が募っていく。

なんで、麻美ちゃん……?

「香代子ちゃん?」
心配そうに顔を覗かれて、はっとした。
いつの間にか麻美が隣にいたことに、気づかなかった。
「ど、どうかした?」
私はバタンと帳簿を閉じて、慌てて引き出しに戻した。
「ううん、何か様子が変だったから」
「なんでもないわ」
私は笑って誤魔化したけれど。
本当は、なんでもなくなんてなかった。
最初は小さな違和感だったのが、どんどん膨らんで、もはや無視できないほど大きなものになっていたのだ。