【あらすじ】
春野 小桜(はるの こざくら)は七十歳を越したおばあちゃん。
ある日、小桜は狸のような生き物に出会う。弱っている様子の狸にご飯を与える小桜。狸はそのまま帰ってしまった。
数日後、小桜の家の柿の木に見かけない少年が腰かけていた。仰天する小桜を彼は桜吹雪で別の世界へいざなった。
入りこんだ世界で小桜は十代の少女の姿になっていた。そこで出逢ったのは懐かしいひと。小桜はこれは夢か現か、しかし素晴らしい場所だと思って彼との想い出、お寺での花祭りを追体験する。
夕暮れ、素敵な時間もおしまいに近付いた。彼と見た桜。娘の頃の出会いと別れを思い出してしんみりしてしまう小桜に、彼は「また逢う日まで」と告げてくれる。それは彼もどこからか過去の世界にやってきて小桜と再び巡り合ってくれたということだった。
小桜は元の世界へ帰ってくる。そこには熟れた柿と、あの世界で引いたおみくじが置かれていた。そのおみくじを大切に小桜は手に包んだのだった。