恋人である上司に利用されていたと知り、パティシエールの柚香は恋も仕事も失った。全てから逃げたくて車で亡き祖父母の田舎の家へ。白い犬(実は犬神)をはねそうになり、慌てて避けたら車が横転。未練はなく生きることを諦めたのに目覚めたら体は元気だった。車から柚香を助け出したのは日本茶しか出さないお茶処の主人の獅狛(犬神の人の姿)。菓子を作れない彼に雇われ、洋菓子を和風にアレンジ。米作りのため都会から通う男性に癒やしの時間を提供し、遠隔地監視アプリを売り込みに来て失敗した男性にアプリの応用先を提案し、幽霊に思い出のケーキを作り……。人の役に立つ喜びと居場所をくれた獅狛に惹かれるが、自分は魂だけの存在で、彼が柚香の心を救おうとしていたのだと知る。生きる意味を見出したとき体に戻されたが、衝撃でお茶処での記憶を全て失った。半年後オーナーパティシエールとして再出発したとき偶然お茶処のことを聞いて挨拶に行き、獅狛と再会。懐かしい気持ちになる。