鍵を開け玄関の中へ。
「ただいま」
「お帰り」
翼の声。
入り口で立ち尽くす宮城先生。
すると、
「遅かったな」
翼が顔を出した。
瞬間、
「ええ」
「あっ」
2人の声が重なった。
よし、勝った。
私はガッツポーズでもしたいくらい。
驚いて声も出ない先生。
いい気分。
「お前・・・」
翼の方が私を睨んでる。
驚かせてごめん。
手を合わせて謝ると、肩を落として見せた。
「宮城先生、ごゆっくり。失礼します」
一方的に言って、翼は消えていった。
「先生どうぞ。2階です」
驚いている宮城先生を、部屋に案内した。
「シェアハウスって事か」
2階に上がった時点で、先生も状況を理解したらしい。
「まあそうです」
「随分と大胆だな。変な噂でも立ったらどうする?」
「別に気にしません」
何、嫁入り前の娘がとでも言う気?
バカらしい。
「で、コーヒーは?」
「ああ、そうでした」
好き嫌いの激しい私は、食べられないものが多い。
その分好きなものにはこだわりがあって、コーヒーもその1つ。
「ブラックでいいですか?」
「ああ、ありがとう。あれ、豆から引くのか。こだわってるな」
「ええ、ちょっと待ってくださいね」
どうしてもインスタントを飲めない私は、家では豆から引いてコーヒーを入れる。
面倒くさいけれど、やっぱり美味しいから。
「うまい」
いつも診察室で見せる優しい笑顔。
「ありがとうございます」
「ねえ、これは?」
壁一面に作り付けられた本棚にぎっしり並べられた本を手に取る。
「私の趣味です」
「へえー」
並んでいるのは全部医療物?
小さい頃から、医療物のお話が大好き。
「これ、俺も好きだった。懐かしいなあ」
ヤダ、少年のように目がキラキラしてる。
「読んでもいいか?」
「どうぞ、私は勝手に寝ますから。好きにしてください」
「お前、どれだけ警戒心がないんだよ」
などとブツブツいいながら、すでに漫画を手に取っている。
そして、気がついたら私はソファーで眠っていた。
なんとなく気があった。
お互い遠慮がなくてくつろげた。
翌朝も、
「すまん。気がついたら朝だった」
「良いですよ貸し1つって事で」
私もその方がありがたい。
何しろこの性格のせいで、敵が多いから。
「日勤ですよね?何か食べます?」
「ああ、ありがとう」
「パンしかないんですが」
「いいよ。ってか、パンに味噌汁?」
私が並べたパンとお味噌汁にびっくりしている。
「飲んだ日の朝にはお味噌汁飲まないと」
「いや、そうじゃなくて」
??
ああ、
「私、ご飯嫌いなんです」
「は?」
「嫌いな物、白いご飯」
「でも、麺類嫌いだって」
「嫌いです。でも頑張れば食べれます。ご飯も、白くなければなんとか食べれます」
「・・・」
宮城先生の不思議そうな顔。
「お前何人だよ」
「残念ながら日本人です」
これが、公と私の始まりだった。
「ただいま」
「お帰り」
翼の声。
入り口で立ち尽くす宮城先生。
すると、
「遅かったな」
翼が顔を出した。
瞬間、
「ええ」
「あっ」
2人の声が重なった。
よし、勝った。
私はガッツポーズでもしたいくらい。
驚いて声も出ない先生。
いい気分。
「お前・・・」
翼の方が私を睨んでる。
驚かせてごめん。
手を合わせて謝ると、肩を落として見せた。
「宮城先生、ごゆっくり。失礼します」
一方的に言って、翼は消えていった。
「先生どうぞ。2階です」
驚いている宮城先生を、部屋に案内した。
「シェアハウスって事か」
2階に上がった時点で、先生も状況を理解したらしい。
「まあそうです」
「随分と大胆だな。変な噂でも立ったらどうする?」
「別に気にしません」
何、嫁入り前の娘がとでも言う気?
バカらしい。
「で、コーヒーは?」
「ああ、そうでした」
好き嫌いの激しい私は、食べられないものが多い。
その分好きなものにはこだわりがあって、コーヒーもその1つ。
「ブラックでいいですか?」
「ああ、ありがとう。あれ、豆から引くのか。こだわってるな」
「ええ、ちょっと待ってくださいね」
どうしてもインスタントを飲めない私は、家では豆から引いてコーヒーを入れる。
面倒くさいけれど、やっぱり美味しいから。
「うまい」
いつも診察室で見せる優しい笑顔。
「ありがとうございます」
「ねえ、これは?」
壁一面に作り付けられた本棚にぎっしり並べられた本を手に取る。
「私の趣味です」
「へえー」
並んでいるのは全部医療物?
小さい頃から、医療物のお話が大好き。
「これ、俺も好きだった。懐かしいなあ」
ヤダ、少年のように目がキラキラしてる。
「読んでもいいか?」
「どうぞ、私は勝手に寝ますから。好きにしてください」
「お前、どれだけ警戒心がないんだよ」
などとブツブツいいながら、すでに漫画を手に取っている。
そして、気がついたら私はソファーで眠っていた。
なんとなく気があった。
お互い遠慮がなくてくつろげた。
翌朝も、
「すまん。気がついたら朝だった」
「良いですよ貸し1つって事で」
私もその方がありがたい。
何しろこの性格のせいで、敵が多いから。
「日勤ですよね?何か食べます?」
「ああ、ありがとう」
「パンしかないんですが」
「いいよ。ってか、パンに味噌汁?」
私が並べたパンとお味噌汁にびっくりしている。
「飲んだ日の朝にはお味噌汁飲まないと」
「いや、そうじゃなくて」
??
ああ、
「私、ご飯嫌いなんです」
「は?」
「嫌いな物、白いご飯」
「でも、麺類嫌いだって」
「嫌いです。でも頑張れば食べれます。ご飯も、白くなければなんとか食べれます」
「・・・」
宮城先生の不思議そうな顔。
「お前何人だよ」
「残念ながら日本人です」
これが、公と私の始まりだった。