「あ、ごめんね……えっ!?
睦月君!?何で……ここに?」

しかし、こんな小さな子が1人で来るとは思えない。
すると睦月君は、手を広げて抱っこをねだってきた。
私は、言われるまま抱っこする。

「その子……知り合い?」

「は、はい。私が担当している先生のお子さんで……」

そう言いかけた時。睦月君は、向こうを見るように
指を指してきた。えっ?と振り返ると
先生の姿があった。やっぱり先生も一緒に来ていた。
すると先生は、凄い不機嫌そうに私達を睨み付けてきた。

「途中で電話を切るし、結局睦月にせがまれて
来てみれば……何をやってんだ?お前は」

怒っている……凄く。
思わず怖さで肩を震わした。
どうしよう……何て言って弁解しよう。
そうではなくても変な誤解をされたままなのに。
何とか謝ろうとすると神野飛鳥は、私を庇うように
前に出てきた。

「君は……誰だ?」

警戒するように先生を睨み付けた。
神野……さん!?
先生も負けじと睨み返してきた。

「俺は、コイツの担当作家の者だ。
小野木。帰るぞ。早くこっちに来い」

「えっ……?は、はい」

私は、慌てて返事する。
えっ?それって戻って来てもいいってこと?
私は、睦月君を抱っこしたまま先生のもとに
行こうとした。だがしかし神野飛鳥が私の腕を引っ張る。

「ダメだ。そっちに行ったら……」

「は、離して下さい」

「もしかして……君の好きな人って
この先生って人なのか?だとしたらやめておけ。
相手は、子持ちだぞ!?」