「何で?不倫とかではない限り問題ないよ。
事務所は、うるさいかも知れないけど
俺……本気になった女には一途だし」
あなたが、問題なくても私には、大問題なのですが!!
すると神野飛鳥は、ポケットから何かを取り出した。
よく見ると私の名刺だった。
「これ……貰ったよ。へぇ~涼花って
クローバー社の編集者なんだ?
今度取材でもして貰おうかなぁ~」
そう言いながらクスクスと笑っていた。
私の名刺が……。
これだと私の情報が漏れてしまう。何とかして
取り返さないと。
「楽しみだよ。これからガンガンとアタックするから
覚悟しておいてね。涼花」
フフッ……何かを企んだように笑う彼を見て
私は、血の気が引いた。わ、私どうなっちゃうの!?
しかしそれは、すぐに表に出されてしまった。
今週発売の週刊誌に私と神野飛鳥のスクープ記事に
差し替えられていた。
名前は、Aさんになって顔にモザイクになっていたが
見る人から見れば私だと分かる。
しかもテレビの芸能ニュースでは、本人が
交際を認めたと言われ何処からか情報が漏れたか
分からないのだが私の働いている出版社からにも
問い合わせが殺到。
取材させてくれと言われてしまう。
「小野木。お前……これは、本当か!?」
「ひぃぃっ~違います!!」
どうして、こんなことになっちゃうの!?
出勤早々に編集長に叱られてしまう。
しかし被害は、それだけではない。
何故だか私の住んでいるアパートにも報道陣が
集まっていた。このままだと自宅に帰ることも出来ない。
今日は、近くのビジネスホテルか
漫画喫茶でも泊まらないとダメなの?
でも何でこんなことに……。
頭を抱える私に他の社員さんが声をかけてきた。
「あの……小野木さん。
蓮見先生から外線でお電話です」
せ、先生から!?どうしよう……。
もしかして報道のことだろうか?
それに先生に顔を合わせられなくて
最近行っていないし電話も避けていた。
「小野木さん?」
「今、代わります。ありがとうございます」