「好きな人……?へぇ~じゃあ
君は、好きな人だけにしているんだ?」
「当たり前ではないですか。
片思いですが私の好きな人は……せん……っ!!」
神野飛鳥は、クスクスと笑いながら言ってきたが
私は、あっとして慌てて手で口を塞いだ。
危うく先生の名前を口に出すところだった。
いけない……。
「せん……?誰?
まぁ不倫とかではない限り俺には、関係ないけど」
そう言いながら強引にキスをしてきた。
嫌っ……!!
私は、必死に抵抗する。
「泣かないでよ……やりにくいから」
涙を流しながら抵抗するもんだから
神野飛鳥は、呆れて止めてしまう。
その隙を見て私は、バシッと彼の頬を叩いた。
酷い……ファーストキスだったのに。
慌てて部屋から飛び出した。涙が溢れて止まらない。
何とか外で披露宴会場に戻るが
すでに会場は、終わった後だった。嘘っ……梨子は?
私は、慌ててスマホを探そうとするが
カバンがないことに気づいた。
ま、まさか慌てて飛び出したから
神野飛鳥の部屋に忘れて来たんじゃあ!?
ど、どうしよう……今さら取りに行けないし
顔も合わせたくない。でも部屋に戻らないと
鍵とスマホが取り返せないし……。
泣きたい気持ちでオロオロしていると
「あ、居た。君……忘れてるよ?カバン」
神野飛鳥が追いかけてきた。ビクッ!!
まさか追いかけて来るなんて!?
どうしたらいいのか戸惑ってしまう。
「あ、ありがとう……ございます」
私は、後退りしながら言った。
顔すら合わせにくいのに……。
「そんなに警戒しないでよ?
涼花。俺……あんたのこと本気で落としたくなった」
「えっ?」