「す、すみません……」

「まったく……」

先生は、呆れたようにため息を吐くがチラッと
その写真や見た時一瞬切ない表情をした。
そして、アルバムを持つと凄く険しい表情になる。

「あまりプライベートの情報を見るな。
お前には、見る必要のないことだ!」

否定してきた先生は、まるでこれ以上
関わるなと拒否されたようだった。
睦月君は、あぁ言ってくれたけど確かに私は他人だ。
プライベートのことまで踏み込みのは失礼。
なのに……つい調子を乗ってしまった。
辛くて……恥ずかしい。

「そ、そうですよね。すみません。
あ、私……友達に付き添ってもらって
病院に行くのを忘れていました。あの……失礼します」

「お、おい小野木!?」

私は、立ち上がると痛い右足を引きずりながら
帰ろうとした。それを見て先生は、慌てるように
呼んでいたが私は、振り返らなかった。
涙が溢れて止まらなかったからだ。
先生は、急に出て行った私に戸惑っていた。

「何だ……アイツ。急に……?」

すると睦月君は、ハァッ……とため息を吐いた。
そして先生をジロッと見る。
何故自分を見つめてくるのか分からない先生は、
眉を寄せていた。

「何だよ……睦月?」

「鈍感も不器用も……そこまで来ると悲しいね」

「はぁっ?どういう意味だよ?」

意味の分からない先生と違い
睦月君は、ハァッともう一度ため息を吐いていた。
そんな会話をしていたと知らない私は、
歩きながら泣いていた。

せの後も気まずさで先生の自宅に行けなかった。
編集者なのだからプライベートと仕事を一緒にしたら
ダメなのは分かっていた。
分かっているけど……先生の顔を見たら
切なそうにしている顔がちらつき悲しくなってしまった。