「睦月君。こんにちは」
私は、ニコッと笑顔で挨拶すると睦月君は、
黙ったまま先生にチャイルドシートに乗せられた。
だが、私をジッと見てきた。
「右足……大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ……ありがとう。心配してくれて」
ニコッとそう言うと睦月君は、ゴソゴソと
カバンの中を探りだした。どうしたのかしら?
不思議に思っているとカバンの中から袋に入った
折り紙の鶴を取り出すと私に差し出してきた。
鶴……?
「私にくれるの?ありがとう。上手に出来てるね。
でも、どうして鶴なのかな?」
「病気や怪我を早く治すためには、鶴がいいんだって。
がんかけ?中川先生がそう言っていたの」
願掛け!?あぁ、千羽鶴のことね。
どうやら睦月君は、私に早く怪我を治してほしくて
一生懸命、幼稚園で鶴を折ってくれたらしい。
「ありがとう睦月君。お陰で早く治りそうだわ」
嬉しそうに言うとコクりと頷いていた。
相変わらず優しい睦月君だ。大切に飾っておこう。
そんなやり取りをしている間に
先生の住んでいるマンションに着いてしまった。
私は、先生の肩を貸してもらい
マンションの中に入って行く。リビングの方に行くと
先生は、強引に私をソファーに座らされた。
「お前は、ここで大人しくしていろ。
俺は、夕飯の支度をするから」
「あ、それなら私が……」
「いいから大人しくしていろ。
一歩でも動いたら追い出すからな」