「睦月君。どっちに乗りたい……?」

すると睦月君は、指を指しながら
「……一緒に乗りたい」と呟いてきた。
え?一緒に乗ってくれるの?

「あ、じゃあ一緒に……」

睦月君とペン太君が馬車として運んでいる
乗り物に乗ることにする。こうやって見るとまるで
睦月君が王子様みたいだ。小さな王子様。
しかもペンギンの乗り物だし可笑しくて可愛らしい。
しばらくするとアナウンスが流れ動き出した。

メロディーが流れなから馬車が上がったり
下がったりゆっくりと回るように動き出した。
チラッと見ると先生は、こちらを見ていた。

「あ、先生だ。睦月君。パパだよ~」

睦月君に声をかけて一緒に手を振ってみる。
すると先生は、デジカメを向けていた。
あ、撮られてる!?

撮られてると分かると何だか恥ずかしくなった。
そしてしばらくすると停まると車椅子の所に戻った。
先生は、ジッとデジカメを見ながら確認していた。

「先生……撮っていたのですね?」
 
変な顔で写っていないといいのだけど…。
だが無言のままだ。
むしろ何だか切なそうに表情になっていた。

「先生……?」

「こうやって見ると…親子みたいだな。お前ら」

ボソッと呟くように言う先生。
私は、ハッとする。
本来ならこの場所は、奥さんが居るはずだった。
それを私が勝手に入り込んだから
複雑なのだろうと気づいた。

「あ、あの……すみません」

「何で謝るんだよ?」

「だ、だって……本当の親子ではありませんし」