部屋に入ると中身を確かめてみる。
やっぱり思った通り結婚式の招待状だった。
高級なホテルで挙式か……。
ある意味羨ましい限りである。
私も普通の恋愛だったら結婚式を挙げられたのかな?
派手でなくてもいい。
ささやかな……式を挙げてみたい。
そう思うと何だか切ない気持ちになった。
私は、まだ片思い中。結婚式なんて……夢のまた夢だ。
いつか……叶う日が来るのかしら?
翌日。また、浜野さんが先生の自宅に来た。
嬉しそうに報告を持って。
「じゃじゃーん。婚姻届を貰ってきちゃった」
「……貰ってきちゃったじゃねぇーよ。
そんな事のために家に来るな!」
「えーいいじゃん。せっかくの幸せな報告だぜ?
俺も晴れて結婚するのにさ。
喜んでくれてもいいじゃん。祝ってよ!」
「ウザい」
先生は、怪訝そうに言うと
浜野さんは、ブーブーと文句を言っていた。
そんな浜野さんをキッパリと否定する先生だった。
不機嫌そうだ。だが私は、素直に祝った。
「おめでとうございます。
あの…仲直りしたんですね?良かったです」
「ありがとう。うん。あれからもう一度
話し合いをしたんだ。彼女の気持ちも理解しながら
そうしたらさ涼花ちゃんの言う通りだったよ。
ただ安心したかっただけなんだ。まだ式とか
そういう結婚らしい事は、やれないけどさ。
籍を入れるだけでいいって。
彼女も今は、それで十分幸せだと言ってくれたから
結婚として踏ん切りがついた。だからありがとな。
涼花ちゃん。それに藤崎」
浜野さんは、ニカッと嬉しそうに笑った。
そっか……。今は、それでいいと思う。
長い人生なのだ。慌てて式だの挙げなくてもいいと思う。
それよりもちゃんとお互いの気持ちを確め合い
一緒に歩んで行けたら素敵な事だ。
「ふん。まぁ、お前も晴れて既婚者か。
しっかりやれよ?」
そう言った先生は、クスッと笑った。
あ、笑った……。
すると横で聞いていた睦月君が
ペンギンのぬいぐるみを1つ浜野さんに差し出した。
「なんだ?これを俺にくれるのか?」
「……おめでとう」
睦月君の精一杯のお祝いなのだろう。
しかもペンギンのぬいぐるみがプレゼントだなんて
可愛いらしい。