結局ラーメンは、ダメになってしまった。
私のを分けてあげようとしたら
先生が自分のを分けるからいいと言ってきた。
睦月君は、いつの間にか泣き止んでおり
先生のラーメンをよそってもらうと黙々と食べていた。
そして食べた後は、スヤスヤとお昼寝をしてしまった。
ソファーで眠ってしまったのでブランケットを掛けてあげた。
それを見つめていたら浜野さんが覗き込んできた。
「しかし、睦月が泣いた姿なんて久しぶりに見たな。
めったに泣かない奴だから」
「そうなのですか?」
確かに睦月君は、泣いたところを見たことがない。
今も泣いたのを初めて見たし……。そもそも
表情をほとんど出さないから感情が読み取りにくい。
睦月君を見るとスヤスヤと眠っている。
寝顔もとても可愛らしい。
「コイツは、赤ん坊の頃からあまり
泣かない奴だったからな。
必要最低限でも泣くより訴えてきたぐらいだし」
するとそれを聞いたが先生がお茶を淹れながら
そう言ってきた。えっ?そうなんだ……?
私は、驚きながら先生の方を見た。
「あーそういえば、そうだったな」
「睦月君は、どんな感じだったのですか?
訴えるとは?」
奥さんの話をされるのは、抵抗あるくせに
睦月君の赤ちゃんの頃の話になると聞きたいなんて
勝手だな。自分は……。
すると浜野さんは、思い出しかのように笑う。
「睦月は、あれだな。オムツの時も起きた時も
反応を示さない。お腹空いた時は、さすがに泣くが
声出さないから気づくのがたまに遅れるんだよな」
「まぁな。起きたら無言で目で訴えてくるからな。
コイツ。聞くと今と同じで、首を振るか頷くかだし
あまり今と変わらないな。
今だと7時までに食べさせないと泣いているから
その前には、食べさせてはいるが」
7時までに食べさせないと泣く!?
先生の言葉に驚いてしまった。
それは、また意外で驚いてしまう。
だが睦月君らしくて可愛いらしくもある。
想像したらクスッと笑えてきた。
「あ、やっと涼花ちゃんが笑ってくれた!?
良かった~」
浜野さんは、安心した表情をしてきた。
えっ……?
私は、慌てて頬を手に当てた。私笑っていた?