「は、はい。失礼します」

頭を下げて席に着いた。
睦月君は、すでにパンを食べていた。
私も食べてみるとチーズと目玉焼きを乗せたパンは、
とてもカリカリしていて美味しかった。

「美味しい……美味しいです」

「そうか……」

先生は、ボソッと言うと優雅に新聞を広げて
コーヒーを飲んでいた。その姿も様になっていて
カッコいい。あ、急がなくちゃあ!!
私は慌てて朝食を食べた。

とにかく早くしないと遅刻しちゃう。
食べ終わると片付けを手伝ってから会社に向かった。
同じ服装なので……何か誤解されそうで
恥ずかしかったけど。

会社・クローバー社に着くと私は、いつも通り
事務の仕事をする。
担当をいくつか持っている編集者も居るが
私は、1人だけだから午前は、雑用を中心にやっている。
ぼんやりしながらもパソコンで作業をしていたら
電話があった。出てみると先生だった。

『小野木。今日ちょっと用事で出掛けるから
睦月のお迎えを頼めるか?
それまでには、帰るようにするから』

「は、はい。分かりました」

『あ、それと。携帯の番号を教えておくから
何かあった時に電話しろ。番号は……』

「えっ?番号!?ちょっと、待って下さい。
今、メモを……あっ!!」

慌て過ぎて近くの書類を落としてしまった。

『待っていてやるから。落ち着け』

「すみません……」

メモに教えてもらった番号を書いた。
良かった……先生の番号を教えてもらえた。
嬉しい。電話を切ると自分のスマホに登録する。