いつの間にか先生の事を気になり始め好きになっていた。
既婚者だから好きになったら
ダメだと分かっているはずなのに
仕事に私情を持ち込んだらダメなのに
やっぱり私は、編集者に向いて無いのだろうか?

しゅんと落ち込んでいるとガチャッとドアが開いた。
睦月君が目を擦りながらこちらに来る。
どうやら起きてしまったようだ。

「睦月。どうした?目が覚めたのか?」

「……トイレ。怖い夢見たの……」と言って
先生にしがみついてきた。

怖い夢を見てトイレに行けないなんて可愛らしい。
すると睦月君は、こちらをチラッと見てきた。
睦月君……?

「お姉ちゃん。一緒に寝よ……」

えっ?まさか睦月君から
一緒に寝ようと誘ってくれるなんて
思っていなかったので驚いた。嬉しいけど
さすがに泊まるのは……。

「えっ……でも、そろそろ帰らないと……」

「帰るってもう終電終わってるぞ?
すでに日付変わっているし」

えぇっ!?
時計を見ると確かに日付が変わっていた。
これでは帰れない。

「今日は、泊まっていけ」

「えっ……でも、いいのですか?」

ご迷惑では……。
そう言ってみたものの終電だし
タクシーに乗って帰るしか方法はない。
すると先生に抱っこされていた睦月君が私に
手を伸ばしてきた。

「一緒に寝よ……お姉ちゃん」