「凄いね。どれも美味しそうだね」
そう言うと睦月君は、コクりと頷き
ベッタリとくっついてチラシを見ていた。
甘えて見てくる姿もとても可愛らしい。
少しずつ前に進んだ。
その繰り返しをする事…30分。
確かに、これだけ並んでいるとよく並べるなと
思ってしまう。途中で先生に抱っこを代わってもらうが
睦月君は、待つのに疲れて眠ってしまった。
「ったく、行きたがっていた張本人にが
真っ先に寝るなよ」
ブツブツと文句を言いつつも先生は、睦月君が
落ちないように抱き直していた。
その際に背中をポンポンとあやしながら
私は、その姿を優しく見つめた。
何だかほっこりして優しい気持ちになった。
すると私のスマホが鳴り出した。
慌てて少し離れると電話に出た。
『どうだ?小野木。蓮見先生は、許可を貰えたのか?』
電話の相手は、編集長だった。
あっ!?お店に並ぶのに夢中になり過ぎて
目的をすっかり忘れていた。
いけない…説得をしないといけないのに。
「すみません。まだ…これから説得してみます」
編集長に平謝りをしながら電話を切った。
何とかしないと怒られちゃう。
どうやって言おうか悩みながら先生の所に戻った。
そうすると先生が
「何だったんだ?会社か」と尋ねてきた。
「は、はい。様子が気になったらしく編集長から」
「そうか。あの話は、無理だが連載の方は、
待ってるのに暇だったからすでに2話まで
ストーリーを考えてある。そのことは、報告しておけ」
先生は、そう言ってきた。
えっ?もう……!?
「早いですね。さすがです」
さすが先生…仕事が早い。ただ
目的のは、アッサリ否定されたが。
うぅっ……まだ何も説得もできてないのに。
しょんぼりをしていると列は、進み
やっとパンケーキ店の入り口まで来れた。