お皿を持って立ち上がった。
キッチンに行きシュークリームを冷蔵庫から
取り出していると先生が戻ってきた。
「あ、お疲れ様です」
「あぁ……」
先生は、そう言うとドカッとソファーに座った。
少しお疲れモードのようだった。無理もない。
我が社の作品だけではなく違う出版社などに
作品を出しているのだから。
ちなみに我が社は、人気シリーズの
SF・ファンタジーものだ。
もちろんミステリーものも人気が高い。
私は、シュークリームを乗せたお皿を睦月君に持って行く。
「あの…コーヒー新しいのを淹れ直しましょうか?」
「いや、大丈夫だ」
先生は、そう言うと自分のカップを持ち口につける。
それが、また様になってカッコいい。
私も食べかけのシュークリームを食べていると
睦月君は、食べ終わったらしく
立ち上がり先生に寄って行く。
「睦月。手ベタベタになってないか?」
そう先生が言うと手を前に出し見せた。
思ったより綺麗に食べられたようだ。
「よし」
先生は、そう言うと睦月君を抱き上げ膝に座らせた。
ちょこんと膝で大人しく座る睦月君は、
とても可愛らしい。似た者親子だ。
「あの…ちょっと伺ってもいいですか?」
「何だ?」
「私って編集者に向いているのでしょうか?」
昨日といい今日といい失敗ばかりしてしまう。
何だか自信が無くなってしまった。そうしたら先生は、
「なら、お前の言う向いている奴は、どんな奴だ?」と
逆に質問された。