ガーン!!
ショックを受けたのは、おばちゃんと
言われた方ではない。
睦月君の楽しみを奪ってしまったからだ。
また、とんでもないミスをやらかしてしまった。
睦月君が荷物を持って戻ってくる。
手を繋ぎ帰るが気まずい雰囲気になってしまった。
せっかく仲良くなれそうなのに…私の馬鹿。
「あの…ごめんね。
睦月君の楽しみを奪ってしまって許してくれる?」
申し訳ない気持ちで尋ねてみた。
そうするとコクリとこちらを見て頷いてくれる。
ズキッ……。
駄々をこねないし、聞き分けのいい子だけど
余計に良心が痛んだ。
私が代わりに寄って行きたいけど先生に迎えに行くと
言った以上寄り道が出来ないし
チラッと見ると黙って歩いてくれた。
ごめんね……睦月君。
自宅マンションから帰ると先生に
オートロックを開けてもらう。
エレベーターで上がると先生が待っていてくれた。
睦月君は、私の手を離し駆け寄って行く。
先生は、睦月君をひょいと抱っこする。
「あれ?どうした。今日は、元気が無いな?」
細かい異変に気づいた。
よく異変が分かったわよね?さすが父親だ。
ただその原因は、私だけど……。
「あの……実は…」
私は、リビングに行きその理由を話した。
「なるほど…そういう事か」と先生は、納得する。
申し訳ない気持ちになった。私は、頭を下げた。
「あの……申し訳ありませんでした。
私何も知らないくせに勝手な事をして…睦月君の
楽しみを奪ってしまいました」
「いや、俺が詳しく話してなかったから
お前が悪い訳ではない。だから気にするな」
「ですが……」
そうすると睦月君がカバンなどを置いてこちらに来る。
先生は、睦月君の所に行くと腰をかがめて
頭をポンと撫でた。
「パンケーキのお店なら明日連れて行ってやるから
今日は、我慢しろ。
その代わりお姉ちゃんがお前のために有名店の
シュークリームをくれたから、それを食べろ」