えっ……?
心配がドクッと大きに高鳴る。
まさかの言葉に動揺をしてしまった。

「俺と妻は、駆け落ちした。
金もある訳ではないし、苦労させると分かっていたから
せめてちゃんとした形でプロポーズするために
ここに来たんだ。海津に頼み……今日みたいにな」

先生……。
じゃあ私は、先生と同じ事をしていたってこと?
だとしたら……私。
私は、罪悪感で慌てて頭を下げた。

「あ、あの……すみませんでした!!
私…そこまで知らなくて。
余計に先生を苦しめる事になってしまって
あの本当に申し訳ありませんでした」

なんで私ったら、そこもちゃんと
リサーチしておかなかったのよ!?
浜野さんも教えてくれてもよかったのに……。

「謝る必要はない。いい機会だったのかも知れんな」

「えっ?」

先生の方を見ると怒っていなかった。
むしろ少し柔らかい表情をしているように見える。
先生は、花火の方を真っ直ぐ見つめていた。

「こうやってアイツと来た場所に再度来ることで
確認して…分かる事もある。
けじめをつけるには、大切な事だったのかもな。
ありがとな。俺のために誕生日パーティーをしてくれて」

私の方を見ると真っ直ぐ見つめながら
初めてお礼を言ってくれた。花火が私達を照らした。

「はい。私も先生と睦月君……そして
白雪と一緒に過ごせて幸せです」

「お前は……変わってるな?」

「えっ?」

笑顔で答えてると先生がそう言ってきた。
変わってるってどういう意味だろうか?
もしかして、おかしいって意味?
だとしたらショックだ。
「先生……それって……」と言おうとしたら
先生が私のおでこにキスをしてくれた。

えっ……えぇっ!?
急な出来事に心臓がドキドキと飛び出しそうになった。
まさかキ、キスをしてくれるなんて……。