「睦月君。席に着こうか?」
慌てて呼ぶとこちらに来てくれた。
席に座ると景色を見る。
真っ暗な景色に黄色にキラキラと光る建物。
それがまた、幻想的で綺麗だった。
「うわぁ~夜だとまた違って凄く綺麗」
しばらくして前もって頼んでおいた特別メニューの
前菜を持って来てもらう。
誕生日に相応しい料理と頼んでおいた。
そしてワイン。気を取り直し深呼吸をすると
先生にお祝いの言葉を伝える。
「先生。誕生日おめでとうございます」
「あぁ、どーも」
素っ気ない態度の先生だった。
素っ気ない。まぁ無理やりだから仕方がないけど
でも喜ばすのは、これからよ!
「あのですね。早速なんですが、誕生…」
「おい。どうでもいいが、さっさと食うぞ。
せっかくの料理が目の前にあるのに…腹減った」
先生は、話を被せるように言ってきた。
うぅ……せっかくの段取りが台無しになってしまった。
本当は、誕生日プレゼントを渡すはずだったのだけど
まぁ、でもまだチャンスがあるわ。
これから楽しんでプレゼントを渡せばいいだけ
そう思い気を取り直して料理を食べた。
コースだが、誕生日用の特別メニューになっており
どれもとても豪勢で美味しかった。
「美味しいですねぇー」
「……そうだな」
先生は、そう言いながら睦月君が食べやすいように
肉料理を切ってあげていた。睦月君は、料理に夢中だ。
うっ……イマイチ盛り上がらない。
よくよく考えたら先生とは、食事中もだが
あまり会話はしない。無口でクールな性格だし。