先生にギロッと睨み付けられる。
ビクッと肩が震え上がった。怒っている……。
どうしよう。サプライズがバレてしまう。
でも、こうなったのも私の責任だし……。
そうしたらぐったりしているはずの睦月君が
「お姉ちゃんを……怒らないで。僕も
楽しみに…してたから」
苦しそうな声でそう言ってきた。睦月君……。
先生は、それを聞くとハァッ…と深いため息を吐いた。
睦月君を抱き直して背中をポンポンと叩く。
「予想は、大体つく……まったく。
頼んでもないのに勝手な事をしやがって」
先生は、呆れた表情をしながら家の中に入ってしまった。
勝手なこと……?確かに先生から
頼まれた訳でもないし勝手な事なのかも知れない。
そのせいで睦月君に熱を出させるなんて本末転倒だ。
本来は、先生を喜んでもらい
前を向いて欲しかっただけなのに。
気づいたら、ただ迷惑しかかけていない。
何やっているのだろう……自分。
涙が溢れてきた。
どうして私って……いつもこうなのだろう?
やること、どれも空回りしてしまう。情けない。
睦月君の部屋に行くと先生が睦月君に
パジャマを着替えさせていた。
私は、リビングに行き氷枕の用意をする。
氷を砕いているのだが涙が溢れて止まらなかった。
先生の誕生日……どうしよう。
あんな状態でパーティーに出席してくれるだろうか?
本当は、私達がこっそり手紙を置いて
抜け出すはずだった。その手紙を見てホテルに
来てもらいサプライズパーティーになる予定だったけど
もう計画が台無しになっている。私のせいで……。
すると白雪が私の足元に近付いてきた。
鳴きながらスリスリと身体をすり寄せてくる。
「白雪……?」
私は、白雪を抱き上げた。
ゴロゴロと喉を鳴らして鳴いている。
「もしかして
私を慰めようとしてくれてるの?」
「ニャー」
「そう……ありがとう。白雪」