そういえば、リビングなどの部屋も
とても綺麗だわ。
先生が日頃から掃除をしているのだろうか?
不思議に思っているとよそってくれたカレーライスを
私に渡してきた。
「ほら」
「あ、ありがとうございます」
慌ててカレーライスを受け取った。
すると睦月君にもカレーライスを渡すと
口についた汚れを拭いてあげていた。
その姿は、いい父親の姿だった。
拓馬君のママが言っていたのは、この事なのだろうか?
何だか先生の事を意識するようになると心臓が
ドキドキするようになっていた。どうしてだろうか。
結局は、答えも出ずにカレーライスを
全部完食してしまった。
うっ……食べ過ぎてお腹が苦しい。
「ごちそうさまでした。美味しかったです」
「それは、どーも」
食べた皿を片付けようとする先生にお礼を言うが
返事は、素っ気なかった。
表情を変えずにキッチンに行ってしまった。
何もしないのは、気が引ける。
やっぱり、せめてお皿洗いをしたいけど
また、割って怒られそうだし。どうしよう……。
そうしたら睦月君が私の服を掴みツンツンと
引っ張ってきた。
「うん?どうしたの。睦月君」
私がそう言うと持っていた絵本を差し出してきた。
絵本?あ、もしかして
「この絵本読んでほしいのかな?」
そう聞き返すとコクリと頷かれた。
どうやら当たったらしい。
睦月君から絵本を読んでほしいとおねだりをされて
嬉しくなる。これは、仲良く慣れるチャンスだ。
「いいわよ~じゃあ、読もうか」
絵本を受け取るとソファーの方に向かった。
ソファーに座ると睦月君は、ちょこんと
私のお膝に座ってきた。大人しくて可愛いらしい。
さてと……と絵本を見ると『桃太郎』だった。
懐かしいわね……。