「睦月君……?」
睦月君は、言葉にならないのか硬直していた。
私は、ニコッと微笑んでみせた。
すると私の飛び付くように抱きついてきた。
そしてギュッとしがみついた。
温かい……生きてたんだ?私……。
沙織さんが助けてくれたんだ?
私も徐にギュッと抱き締め返した。すると
「……お姉……ちゃん……」と涙声になりながら
私の名前を呼ぶ睦月君。
覗くとポロポロと涙を流していた。睦月君……。
胸が苦しくなりもう一度ギュッと抱き締めた。
するとドアが開き先生が入ってきた。
「……小野木!?」
「……先生……」
先生は、驚いた表情をしていた。
そうしたらガバッと睦月君ごと抱き締めてきた。
急に抱き締めてきたから心臓が飛び上がりそうだった。
「馬鹿野郎。心配させやがって……。
お陰で寿命が縮んでしまったじゃねぇーか」
そう言いながら。先生の温もりを感じる。
涙が出るほど、嬉しさが込み上げてきた。
しかしすぐにハッとする。
「そうだ。白雪は?白雪は、無事なんですか!?」
「……白雪。無事だよ」
私は、慌てて質問をすると
間に挟まっていた睦月君がそう言ってきた。
あ、潰れちゃう。私は、慌てて緩める。すると先生は、
「あぁ、無事だ。さすがに病院に連れて行けないから
家で留守番させてるが。まったく。
アイツを助けるために車の前に飛び出すとか
アホな事をしてるんじゃねぇ-よ!!
死ぬ所だったんだぞ。運がいいのだか悪いのだか
途中で足滑らせて助かったからいいものの……。
もし沙織のように死んだら許せねぇーからな!?」
怒鳴るように先生は、説教してきた。
しかしその表情は、今にも泣きそうなぐらいに
切なそうだった。沙織さんの言葉を思い出した。
私も……先生に笑って欲しい。これからもずっと。