「ここは、現世とあの世の狭間よ。
あなたは、子猫を助けようとして、ここに
迷い込んでしまったのね」
「えっ?現世とあの世の狭間?
じゃあ、私死んでしまったのですか!?」
沙織さんから驚きの真実を突きつけられた。
現世とあの世の狭間ってどういうことだろうか?
どうしよう。まだ死にたくない。
「フフッ…大丈夫よ。まだあなたは、
死んでなんかいないわ。私が止めたから」
「沙織さんが、私を止めた!?」
「えぇ、そうよ。会えて嬉しいわ。
あなたには、これからも睦月や真夜を支えてほしいもの」
その言葉にハッとする。
そうだ…私。沙織さんの旦那さんを好きになって
恋人になってしまった。
睦月君には、母親のように振る舞っているし。
「あの……すみません。私……」
必死に謝ろうとした。しかし沙織さんは、
自分の指を私の口に当てて止めてきた。
そしてニコッと微笑んできた。
「謝らないで。私は、それでいいと思っているの」
「えっ……?」
「睦月は、まだ幼いわ。これからも母親が
必要な時があるし甘えさせてあげたい。
それに、真夜は……あの性格でしょ?
素直ではないし、甘え下手なのよ。
でも、あなたを大切に想っているわ。あの人は、
私の事を忘れられず苦しんでいる。
まだ若いのに勿体無いわよね。
だって、その気になれば再婚だっていくらでも
出来るのに。あなたとだって……フフッ…」
可笑しそうに笑う彼女。沙織さん……。
私は、沙織さんの言葉に驚いた。
嫌ではないのだろうか?だって、大好きな人が
他の女性に盗られるかもしれないのに……。
「嫌ではないのですか?
先生……旦那さんが他の人を盗られるの」