「でも、実際に会話をしてみると
礼儀正しいし何よりイクメンなのよね。
睦月君に対して優しいというか面倒みがいいの。
周りのママさん達もあんな夫が欲しいと言われてるわ」
そう言って教えてくれた。
私は、その言葉を聞いて驚いてしまう。
イクメン……そんな父親のイメージが湧かない。
睦月君とあまり接点なかったせいかもしれないけど
それに礼儀正しい……?
私には、厳しいと言うか叱られっぱなしなので
余計に驚いてしまった。
先生が、拓馬君のママから色々聞いたが
余計に戸惑ってしまった。
新たな先生を知れたけど……そうなのだろうか?
もう少し歩み寄ったら分かるだろうか。
しばらくして話し込んでいたら遅くなってしまい
慌てて睦月君を連れて自宅マンションに帰った。
先生……まだ怒っているだろうか?
いや、むしろさらに怒ってそう……。
恐る恐るインターホンを押すと普通の口調で
開けてくれた。ガチャッとドアを開けると部屋から
いい匂いが舞い込んでくる。
カレーライス?
「遅かったな?」
「あの…申し訳ありませんでした。
遅くなったり……色々と」
ビクビクしながら謝罪をする。
怒られるのが怖い……。
だが先生は、怒鳴られる気配はなかった。
「気にするな。仕事で行き詰まる時は、
大体あんな感じだ。
それより、せっかくだから夕飯を食っていけ」
逆にそう言ってくれた。えっ?
夕食に招待してもらえた。
嬉しいけど……本気にしてもいいのだろうか?
社交辞令とかではなくて?
あまりの違う態度に頭の中が困惑していた。
「いいのですか?私がご一緒しても」
「別にいらないなら、食わんでもいいぞ」
「いえ、た、食べさせて下さい」
「なら手洗いして来い。今よそうから」
慌てて訂正すると手を洗うように言われた。
まさかのお誘いに驚いてしまったけど嬉しい。
食べないと損だ。お、お手伝いしないと……。