先生は、何でもお見通しだった。
確かに。これだけの量を持って帰るのは、
一苦労するだろう。私、車ではないし
「あ、あの……ありがとうございます」
「あ、待って下さい」
先生にお礼を言うが先生は、黙ったまま
大荷物を持って行ってしまう。
私は、慌てて残りの荷物を持つと睦月君を
連れて追いかけた。車で来てくれたらしい。
荷物を後ろに詰め込むと睦月君を
後部座席のチャイルドシートに座らせる先生。
私も助手席に座ると車を走らせた。
チラッと運転をしている先生を見る。
黙ったまま何も言ってくれない。どうしよう。
「あ、あの……ペット用品のお金。
後で払いますので…」
自分の勝手な都合で飼うのなら
払わないといけない。すると
「……金ならいい」と言ってきた。
でも……申し訳ないし。
そう思っていると白雪が突然鳴き出した。
見ると睦月君がカバンから白雪を出していた。
「睦月君。白雪を出しちゃったの!?」
私は、慌てて言う。
車の中で出しちゃっていいのかしら?
すると先生は、眉間にシワを寄せながら
「……白雪?」と呟いてきた。
「あ、この子の名前です。
白雪姫みたいだからと睦月君が名付けたんです」
「ふーん」
説明するが先生は、興味なさそうだった。
先生は、何やかんやいいながらも優しい。
きっと怒っていながらも
私達の事を心配してくれてるのだろう。
なら、せめてこの子を正式に認めてくれるように
頑張らないといけない。
そして自宅に着くと荷物を設置する。
リビングの隅に猫用のケージ。そしてトイレを置いた。