子猫は、気持ちを良さそうに鳴いていた。
ある程度、洗い終わるとシャワーをぬるま湯にして
洗い流した。すると真っ白で綺麗な子猫が出来上がった。
前より可愛いらしくなった。
「ニャー」
子猫は、勢いよく身体をブルブルと震わせる。
キャッ!!と、飛んじゃうから……。
お陰で服とか少しベタベタになってしまった。
「もう…困った子猫ちゃんね。
ビショビショになっちゃったじゃない」
苦笑いしながらそう言った。すると
「あぁ、本当に困った奴だ。その猫も…お前もな」と
低い声が後ろから聞こえてきた。
その声は……!?
私は、恐る恐る振り返ると先生が立っていた。
しかも腕を組みながら……。
うっ…バレちゃった!?
「お前は、なかなか来ないし睦月の様子がおかしいから
変だと思ったら……何だ?その猫は?」
「それは……深い訳が……」
「説明しろ!」
ギロッと睨み付け怒鳴られた。
ま、間違いなく怒っている。ひぃぃっ……と思いながらも
結局、私の方から事情を説明する。
ソファーの下で正座をさせられながら
しかし先生の反応は、冷たいものだった。
「……なるほどな。大体の事情は分かった。
だがその猫は、元にあった場所に戻して来い」
「な、何でですか!?雨が降っていますし
あんな寒い所に戻したら凍え死んでしまいますよ!」
そんなのあまりにも可哀想だわ。
すると先生は、呆れたようにため息を吐いた。
「ウチのマンションは、ペットを
飼ってもいい物件だが一体誰が面倒みるんだ?
しかも生き物。オモチャではないんだ。飼うなら
最期まで責任を持たないとならない。
生き物を飼うのは、生半可な気持ちでは
飼えないんだぞ?病気をするかも知れないし早く死ぬ。
それでメソメソ泣かれても俺が迷惑だ。
いいからさっさと元の場所に戻して来い!」