あ、それ私も気になっていた!?
ハッとして睦月君を見る。
すると睦月君は、重い口を開く。

「だって、人の失敗にいちいちケチをつける人が
まともな大人に見えないから。
おじちゃん……可哀想な人だなぁと思って」

バッサリと凄い事を言い放つ睦月君。
どう考えても4歳児の言う台詞ではない。
睦月君って…口数の少ない子だけど
たまに大人びた発言をする事があるわよね。
先生の影響かしら?

「なるほどな。確かに、そうかも知れないな」

ニヤリと笑う先生は、明らかに
面白がっているように思えた。
睦月君は、先生と奥さんの子だ。もしかして
凄く頭のいい子に育つのではないだろうか?

昼食を準備しているテント会場に向かうと
すでに何組の人達か料理を作って準備をしていた。
私達の組は……あそこね。

「すみません。遅れました。
何か手伝う事とは、ありますか?」

「あ、藤崎さんの所の……あのすみませんが、
焼きそばの麺が入った箱を持って来てくれませんか?
あとソース。足りないみたいなので
置いてある場所は、ここに」

「分かりました。小野木は、睦月と一緒にそこに居ろ」

「は、はい」

私は、返事をして先生の指示に従った。
そして先生が取りに行っている間
焼きそばを混ぜる方を担当した。
これは、結構量があるので重労働だ!
くっ……混ぜにくいかも
私が必死に混ぜいるとお客さんがきた。
他の組のママ達だろう。
 
「あの、焼きそばを2つ」

「はい。ただいまご用意しますね」

拓馬君のママが対応してくれた。
しばらくその繰り返しをしていると拓馬君のママが
睦月君を褒めてくれた。

「睦月君カッコ良かったわよ。
まるで王子様みたいで素敵だったわ」